【現役SEが紹介】実際どうなの?メーカー系システムエンジニアの特色を大公開
私は実際にメーカー系Sierの子会社(通称:メー子)に勤務しており、金融系システムを中心に開発しています。
この記事では実際に働いてみてわかったメーカー系システムエンジニアの特色、働いていて中で感じるメリット・デメリットについてご紹介します。
勤務地は大きく2種類
まず働く環境(勤務地)について紹介します。
私はメーカー系Sierのシステムエンジニアとして要件定義→設計→開発→試験→運用まで一通りの工程を行ってきました。(具体的な社名は紹介できませんが、家電量販店などでよく目にしている企業です)
その中で、私の務めている会社(メーカー子会社)の勤務地はこの2種類が大半です。
- 仕事の依頼元である「顧客先で働く」ケース
- 関東圏内に複数ある「自社拠点で働く」ケース
勤務地の割合は以下の通りです。
- 顧客先勤務:40%
- 自社拠点勤務:40%
- 本社勤務:20%
本社勤務が20%となっていますが、これは会社の幹部層や人事などの割合がほとんどで、実際にエンジニアとして本社勤務している人は1割未満です。
メーカー系Sierでは割合は違えど、こういった勤務地をイメージしておけば良いと思います。
顧客先のケース
顧客先勤務の場合、エンドユーザの社内で働いたり、プロジェクトの各ベンダが1つのビルに集められて働くケースがあります。どちらの場合でも顧客との距離は近いです。
顧客先のビルは都内に構えている場合がほとんどですので、自宅から通うことが可能ですが、私の場合は毎朝満員電車に揺られる生活がほとんどでした。
顧客先で働く場合は、お客様からシステムの仕様をヒアリングしたり、これから開発するシステムの説明を行うことが多いため、コミュニケーションスキルが圧倒的に鍛えられます。
また、メーカー系Sierの受注案件は大規模プロジェクトが多く、複数のベンダが集まって開発を行うマルチベンダの形式が多いため、技術力が非常に高い各ベンダの人ともコミュニケーションを取り、自然と技術力を高めることができます。
私自身コミュニケーションが苦手なエンジニア気質(笑)ではあるのですが、プライベートでする会話と仕事でする会話は少し違うのか、あまり苦ではありませんでした。
結果として自分もこのようなベンダの人と関わったことで自分のスキルを高めることができました。
まとめると、色々と大変な分、成長が見込める環境ですね。
自社拠点のケース
自社拠点で仕事をする場合は、関東圏内に複数ある親会社のビルや自社が借り上げているビルのフロアで仕事をします。
ある程度働く場所が決まっており、拠点の近くに自宅を持つ人も多いです。私の場合も拠点の近くに賃貸で住んでいるため、自社拠点の場合は家から30分かからずに出社することができます。
自社拠点で開発を行う場合は親会社の人と一緒に働くことがほとんどで、エンドユーザの人とは定期的に打ち合わせをするスタイルとなります。顧客先勤務の場合よりもエンドユーザと話す機会は減りますが、ゼロではありません。
働く環境としては、周囲の人も自社もしくは親会社の人となりますので、ある程度自由な雰囲気になります。(ただし、一緒に働く親会社や自社の人による)
特徴としては、お客さんから受注した案件を自社拠点に持ち帰り開発をしているため、納期管理が非常に厳しいです。しかし、納期に余裕を持つことができれば、ストレスも少なく、毎日余裕を持って仕事をすることができます。
そのためタスク管理のスキル向上が見込めます。
まとめると、仕事が終われば早く帰り、終わらなければ残業するというエンジニアらしい生活のイメージです。(ドラマでよく見ますね)
メーカー系SEとして必要なスキル
メーカー系のシステムエンジニアの場合、コミュニケーション力が最も大切になります。これはシステムエンジニアとして必要なスキルと同じですが、メーカー系Sierの場合、技術力よりもコミュニケーション力の比重が大きくなります。
メーカー系Sierの場合、自社のサーバや製品、フレームワークを使用することが多いため、0からシステムを開発することはほとんどありません。類似のプロジェクトを参考にすることも多く、大抵はそれらを組み合わせてシステムが構築できてしまいます。
そのため、自社製品やOSSを組み合わせるための方式についてすり合わせるという事が多く、実際のコーディング期間も通常より短くなります。
実際、自社製品に精通した社員は重宝されており、そういった人は開発スキルよりもコミュニケーションを軸としています。
実際に感じたメリット
ここからは私が実際にメーカー系Sier(子会社)で働いてみて感じたメリットについてご紹介します。
いろいろな人と関われる
メーカー系Sierでは、大規模なプロジェクトが多く、前述した「顧客先勤務」「自社拠点勤務」のケースどちらも数百、数千人規模で仕事をします。
その中で「この人はすごい」と思える人に何人も出会うことができます。
実際にそういった人から技術を吸収したり、プライベートでも仲良くできていることを考えると、とても良かったなと感じています。
給与・ボーナスは良い
私の具体的な額は公開できませんが、メーカー系のシステムエンジニアの給与は平均よりも高いです。また、ボーナスの水準も同じく高いです。
しかし、職位ランクというものに合わせて昇給が行われるのですが、毎年の給与の増え方は少なく、役職が上がると給与も大きく上がるというスタイルになっています。
私の場合も、周囲のエンジニア仲間と話す機会が多いのですが、金銭面では悪くない待遇かなと感じています。
福利厚生が充実
メーカー系Sier(子会社)の場合は親会社と同じ水準の福利厚生が設けられていることがほとんどです。
交通費支給や住宅補助、各種手当も充実しています。
他にも親会社がスポンサーになっているイベントなどにも無料で参加できたり、顧客先や協賛している企業の製品が頂けたりすることもあります。
一方で、多くの人のイメージとは違い、自社製品の割引はそんなに無く、通販で買ったほうが安かったりします(笑)
実際に感じたデメリット
ここからは私が実際にメーカー系Sier(子会社)で働いてみて感じたデメリットについてご紹介します。
やっぱり残業は多い
他のベンダよりも残業が多いといったことは無いですが、反対にメーカー系Sierだから残業が少ないといったこともありません。これは断言できます。
システムエンジニアとして働くなら納期はつきものですので、この納期次第で忙しい時期がでてくるのは仕方がないですね。
私もそういった生活に慣れました(笑)
今後期待できるとすれば、働き方改革についてはメーカー系企業は積極的で、プレミアムフライデーについても、私の勤務先ではいち早く導入しています。
残業時間の管理などもツールによりしっかりとシステムで管理されているため、より働き方改革が進み、残業時間も少なくなっていくことが考えられます。
技術・分野が偏る
メーカー系Sierは企業にもよりますが、私の務めている会社の場合、公共・産業・金融・通信・医療など、非常に多くの分野を扱っています。
しかし、部署によって扱う分野は決まっており、自分が入った部署が担当している分野のプロジェクト働くため、実際には特定分野の知識が溜まっていく形となります。
いろいろな分野を経験するため部署を変更する、といった方法は不可能ではありませんが、割合としてそういった人は少ないので、「色々な分野を経験したい!」といった方にはあまりおすすめできません。
逆に考えれば特定分野に特化した人材になることができるのでメリットでもありますが….
顧客と下請けの板挟み
これは親会社、子会社の場合同様で、顧客と下請けの板挟みになることが多いです。
大規模なプロジェクトで働くことが多いため、プロジェクトの構成も2次受け3次受けのピラミッド構造となります。
この中で顧客先とも上手にコミュニケーションをとり、下請けの会社ともやり取りをして、ストレスを感じてしまう人も少なくはありません。
実際私も顧客先の要件ばかりに耳を傾けた結果、下請け会社の不満が溜まってしまい、関係にヒビが入ってしまったことがありました。(この逆もあります)
働き方が形式的
働く中で、何をするにも申請・承認が必要となる。といった形式的な面が多いです。
新規メンバがすぐに開発をしようと思っても、申請が通っていないためPCや開発環境を使えないといったことが何度かありました。こういった場面に遭遇すると、時間を無駄にしている感覚になりますよね。
開発も典型的なウォーターフォール開発であることが多く、なにか修正や変更があった場合、必ず前工程の成果物に対しても修正、変更をするため、無駄と感じる人も多いです。
品質を確保するためには必要なことではありますが、独立系のSierと比べると、すぐにプロトタイプ(動くもの)を作ってブラッシュアップしていくといったスタイルは苦手で、どうしても初速の面で弱いです。
転職を考えた場合も、このような働き方に慣れてしまっているため、なかなか適応できない人が多く、長く務めている人であればあるほど、転職は難しくなっていきます。
転職が盛り上がっている昨今 の時代変化を考えると、これはけっこうなデメリットだと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
総括するとメーカー系Sierは給与・仕事環境など安定しており、技術面で得られるものはやや少ないといった感じでしょうか。
私自身は安定的に収入が得られて、かつ仕事内容も苦痛ではないため、個人的にはメーカー系システムエンジニアとして働けて良かったなと感じています。
実際この記事も平日に年休を取得して執筆していますし、定時後や休日は投資に時間を割り当てることも十分可能です。
もちろん仕事ですので所々うんざりするような事は起きますが…(笑)
実際にメーカー系Sierへの就職・転職を考えている方は、この記事で挙げた特色が自分に合っているかを考えてみてください。