【企業DC】マッチング拠出はやるべきか|拠出する・しないの判断基準

私の老後資金は、いまiDeCo側で積み立てています。月5,000円、商品はiFreeFANGです。
会社が出す年金に自分で上乗せする「マッチング拠出」は、私の口座にはありません。iDeCoとマッチング拠出は、掛金を同時に出せない決まりだからです。どちらかを選ぶ話になります。
結論として、マッチング拠出をやるかどうかは、次の3つで決めます。1つ目は、会社の掛金を引いたあと、上限枠がどれだけ残っているか。2つ目は、iDeCoと比べて何を捨てることになるか。3つ目は、税金でいくら戻るかと、60歳まで引き出せないお金で大丈夫か。この3点がそろえば、拠出する・しないの判断はぶれにくくなります。
マッチング拠出とは|会社が出す分に、自分で上乗せする仕組み
企業型DC(企業型確定拠出年金)は、会社が毎月掛金を出し、本人が運用商品を選ぶ年金です。マッチング拠出は、その会社分に、自分の給与から掛金を上乗せする仕組みです。企業型年金規約に定めがある会社だけが使えます。規約に定めがなければ、希望しても上乗せはできません。
上乗せした分も含め、拠出できる合計には上限があります。自分の掛金だけをいくらでも増やせる制度ではありません。ここを先に押さえておかないと、「いくら出せばいいか」の計算がずれます。
2026年に2回変わった上限|4月の制限撤廃と12月の6万2,000円
マッチング拠出の枠は、2026年に2回変わりました。
1回目は2026年4月です。それまで自分の掛金は「会社の掛金以下」でなければなりませんでした。この制限がなくなりました。会社の掛金が月1万円の人でも、合計の上限までは自分で上乗せできるようになったわけです。
2回目は2026年12月です。企業型DCの拠出限度額が、月5万5,000円から月6万2,000円に引き上げられます(厚生労働省)。確定給付型(DB)などを併せて実施している会社では、6万2,000円から他制度掛金相当額を引いた額が上限になります。
| 区分 | 2026年11月まで | 2026年12月から |
|---|---|---|
| 企業型DCだけの会社(事業主掛金+自分の掛金) | 月55,000円 | 月62,000円 |
| DB等を併せて実施する会社 | 月55,000円から他制度掛金相当額を引いた額 | 月62,000円から他制度掛金相当額を引いた額 |
上限が上がっても、会社の掛金や自分の掛金が自動で増えるわけではありません。規約の定めと、会社側の手続きが先に要ります。自分の会社で「いつから・いくらまで」上乗せできるかは、勤務先の案内か人事・総務への確認が要ります。
判断基準1|会社の掛金を引いたあと、枠がどれだけ残るか
自分が出せる最大額は、上限から会社の掛金を引いた額です。計算は単純です。
| 会社の掛金(月額) | 自分が出せる最大額(2026年12月から、DCだけの会社) | 合計 |
|---|---|---|
| 月10,000円 | 月52,000円 | 月62,000円 |
| 月20,000円 | 月42,000円 | 月62,000円 |
| 月30,000円 | 月32,000円 | 月62,000円 |
私の会社の事業主掛金は月8,500円です(2026年11月1日に本人が確認した金額)。2026年12月からの枠に当てはめると、62,000円から8,500円を引いた53,500円が、自分が出せる最大額の計算になります。ただし、この金額はDCだけの会社で、かつ規約にマッチング拠出の定めがある場合の話です。定めがなければ、枠があっても上乗せはできません。
会社の掛金が小さい人ほど、2026年4月の制限撤廃の恩恵は大きくなります。月1万円の会社分しかない人でも、12月からは月52,000円まで自分で出せる計算になります。逆に、会社の掛金がすでに大きい人は、残り枠が小さくなります。
ここで大事なのは、最大額をそのまま出す必要はないことです。枠が大きいからといって、枠いっぱいまで出す理由にはなりません。次に見るiDeCoとの比較と、家計の余裕を先に決めてから、金額を決める順番が向いています。
判断基準2|iDeCoと両立できない。何を捨てるかで選ぶ
マッチング拠出を使っている間は、iDeCoの掛金は出せません。この点は2026年の改正後も変わりません。選ぶのは「会社の制度の中で上乗せするか」「自分で選んだiDeCoで積み立てるか」のどちらかです。
| マッチング拠出 | iDeCo | |
|---|---|---|
| 掛金の出し方 | 給与天引きで、会社側の手続きで処理される | 自分で金融機関を選び、口座を開いて拠出する |
| 運用商品 | 会社の制度の中の商品から選ぶ | 自分で選んだ金融機関の商品から選ぶ |
| 口座管理手数料 | 基本的に会社負担の形が多く、自分の負担は小さい | 自分で負担する(金融機関による) |
| 併用 | iDeCoとの併用はできない | マッチング拠出との併用はできない |
| 60歳までの引き出し | 原則として引き出せない | 原則として引き出せない |
この違いで選択が変わるのは、商品の選び方です。会社の制度の商品に納得できるなら、マッチング拠出のほうが手続きは楽です。商品を自分で選びたい、特定の低コスト商品を使いたいなら、iDeCo側に分があります。
私の場合は後者でした。iDeCoでiFreeFANGを選んで積み立てている以上、マッチング拠出に切り替えるなら、まずiDeCoの拠出を止める手続きが要ります。切り替えのコストを払ってまで得るものがあるか。その問いが、切り替え判断の中心になります。
判断基準3|税金でいくら戻るか、手取りで読む
自分が出した掛金は、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象です。給与天引きの場合、年末調整まで会社側で処理されます。軽減額の読み方は、年間の掛金に、自分の所得税率と住民税10%を足した率を掛けるだけです。
| 自分の掛金(月額) | 年額 | 所得税5%の人(合計15%) | 所得税10%の人(合計20%) | 所得税20%の人(合計30%) |
|---|---|---|---|---|
| 月10,000円 | 120,000円 | 18,000円 | 24,000円 | 36,000円 |
| 月20,000円 | 240,000円 | 36,000円 | 48,000円 | 72,000円 |
| 月30,000円 | 360,000円 | 54,000円 | 72,000円 | 108,000円 |
※筆者による試算。住民税は一律10%として計算しています。
税率が低い人ほど、戻りは小さくなります。所得税率5%の人が月1万円を出しても、年間の軽減は18,000円です。節税だけを理由に、生活費を削ってまで出す金額ではありません。
もう1つ、見落としやすい点があります。マッチング拠出で出したお金も、原則として60歳まで引き出せません。増やした分は、老後まで触れないお金になります。生活防衛資金に手をつけてまで出すものではない。ここはiDeCoと同じです。
拠出しない・見送るほうがいい人
- 会社の制度にマッチング拠出の定めがない(そもそも選べない)
- iDeCoの商品や手数料のほうが自分に合っていて、切り替える理由が見つからない
- 生活防衛資金がまだ薄く、手元のお金を増やしている途中
- 所得税率が低く、所得控除の戻りが小さい
- 数年以内に大きな支出が見えていて、60歳まで触れないお金を増やしたくない
見送る判断も、立派な判断です。枠が広がったからといって、使わなければならないわけではありません。
管理人の実例|私はiDeCo側にいる
私のiDeCoは月5,000円、iFreeFANGです。始めた当初の目的は「まず口座を開けて動かす」ことでした。金額は大きくありません。
マッチング拠出に切り替えるかどうか。私の答えは、いまのところ切り替えていません。理由は1つです。iDeCoの商品を自分で選んだ形に納得していて、切り替えの手間と、iDeCoの拠出を止める手続きを払ってまで得るものが、いまの私には見えていないからです。
とは言え、この判断は会社の制度の詳細を確認したうえでの最終結論ではありません。私の会社の企業型DCの事業主掛金は月8,500円と分かりました(2026年11月1日確認)。ただ、規約にマッチング拠出の定めがあるか、制度の中の商品ラインナップはまだ未確認です。詳細が分かれば、判断は変わる可能性があります。
まとめ|最初に確認することは3つだけ
- 会社の制度にマッチング拠出の定めがあるか、会社の掛金はいくらか
- 上限から会社の掛金を引いた残り枠はいくらか(2026年12月からは合計月62,000円が目安)
- iDeCoと併用できない点を踏まえ、商品の選び方でどちらが自分に合うか
この3つが分かれば、拠出する・しないの判断は進みます。金額は、枠の最大値ではなく、60歳まで触れなくても家計が回る範囲で決めてください。
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※本記事の制度情報は2026年11月1日時点のものです。拠出限度額や手続きの詳細は、勤務先の最新の案内で確認してください。本記事は特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。
























