【有給休暇】年末こそ消化が進む取り方|年5日の義務と計画の立て方

11月になって有給休暇の残日数を見ると、私はいつも同じ気持ちになります。まだこんなに残っている。年末までに取り切れるのか、見通しが立たないまま12月に入ってしまう。
結論として、年末に決めることは3つだけです。1つ目は、残日数と基準日を確認すること。2つ目は、年5日の取得義務に対して、自分があと何日必要か数えること。3つ目は、年末に取りやすい日を先に押さえ、上司に早めに伝えることです。残日数を数えずに「年末にまとめて取ろう」と思うだけでは、消化は進みません。
年5日の義務とは|対象は年10日以上付与される人
2019年4月から、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者について、使用者は年5日を取得させることが義務付けられました。対象には、管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。違反した場合は、労働基準法第120条により30万円以下の罰金が科されることがあります。
ここで数え方の要点が2つあります。1つ目は、期間は付与日(基準日)から1年以内だという点です。暦年で数えるのではありません。自分の基準日が4月なら、翌年3月までがその年の区切りになります。2つ目は、すでに自分で請求して取得した日と、計画的付与で取得した日は、年5日から差し引けるという点です。5日以上すでに取得している人には、使用者が時季を指定する必要もありません。
自分の基準日が分からない人は、給与明細や社内の勤怠システム、就業規則の付与表を確認してください。基準日が分からないまま残日数だけ見ても、年末にあと何日必要かは決まりません。
残日数と期限の確認|繰越は1回だけ、時効は付与日から2年
残日数を確認するときは、今年の付与分と繰越分を分けて数えます。年次有給休暇は、付与された日から2年で時効になって消えます。使い残した分は翌年度に1回だけ繰り越せて、その年度の終わりに消える形です。
確認の順番は次のとおりです。
| 順番 | 確認すること | 確認先の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 自分の基準日(付与日) | 給与明細・勤怠システム・就業規則 |
| 2 | 今年の付与日数と、すでに取得した日数 | 勤怠システムの残日数表示 |
| 3 | 繰越分の日数と、その消滅時期 | 勤怠システム・人事への確認 |
| 4 | 年5日の義務に対して、あと何日必要か | 取得済み日数との差し引き |
半日単位で取得した日は0.5日として数えます。時間単位で取得した分は、年5日の義務からは差し引けません。時間単位の取得を多用している人は、5日の計算では別枠だと考えてください。
年末に取りやすい日の選び方|飛び石と年末年始の前後から埋める
年末に取りやすい日は、大きく3パターンあります。自分の職場の繁忙期と重ならないものを選んでください。
| パターン | 取り方 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 飛び石連休をつなげる | 祝日と週末の間の平日を1〜2日取る | 長期休暇が取りにくい人 |
| 年末年始の前後に足す | 12月下旬や1月初めに1〜3日足す | 年末の業務が一段落する人 |
| 繁忙期を避けて分散する | 11月中に1日、12月に1〜2日と分ける | 年末に業務が集中する人 |
飛び石の1日だけでも、取得日数としては1日です。連休にこだわらず、1日ずつ確実に積み上げるほうが、年末の消化は進みます。12月にまとめて5日取ろうとすると、業務の引き継ぎも重なり、結局取りやめることになりがちです。
11月・12月の進め方|2か月で消化を進める計画表
11月から12月にかけての進め方を、週単位ではなく月単位で整理すると次のとおりです。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 11月上旬 | 残日数と基準日を確認し、あと何日必要か数える |
| 11月中旬 | 取りたい日を2〜3日候補として決め、上司に相談する |
| 11月下旬 | 1日目を取得し、引き継ぎの負担を確認する |
| 12月上旬 | 残りの取得日を確定させ、引き継ぎ資料を整える |
| 12月中旬以降 | 残りの日を取得し、年明けの業務の申し送りを済ませる |
11月中に1日取ってみると、引き継ぎの手間がどれくらいか分かります。手間が大きいと分かったら、12月は分散して取る計画に切り替える。計画表は、最初に決めたとおりに進めるためのものではなく、11月の1日で手直しするためのものです。
計画的付与と時季指定の違い|労使協定が要るかどうか
年5日の義務と混同しやすいのが、計画的付与制度です。違いを整理すると次のとおりです。
| 年5日の時季指定義務 | 計画的付与制度 | |
|---|---|---|
| 性質 | 使用者に課された法的義務 | 労使協定に基づく任意の制度 |
| 対象になる日数 | 年10日以上付与される人のうち年5日 | 付与日数から5日を引いた部分(繰越分を含む) |
| 日の決め方 | 使用者が労働者の意見を聴いて時季を指定する | 労使協定で取得日をあらかじめ定める |
| 導入に必要なもの | 就業規則への定め | 就業規則の変更と労使協定 |
計画的付与は、会社が一方的に決められる制度ではありません。労使協定がなければ導入できません。自分の会社に計画的付与があるかどうかは、就業規則や人事への確認で分かります。制度がない会社では、年5日の義務は、自分で取得するか、使用者の時季指定で満たすことになります。
上司への伝え方と引き継ぎ|早めに候補日を示す
上司に伝えるときは、「休みたい」という相談ではなく、候補日と引き継ぎの見通しをセットで示すと、話が進みます。私の場合は、候補日を2〜3日挙げ、「この日なら引き継ぎはこの形で回せる」という見通しを添えるようにしています。
引き継ぎの段取りは、次の3点に絞ります。1つ目は、休み中に動く業務と止まる業務の線引きです。2つ目は、緊急時の連絡先と判断の権限です。3つ目は、休み明けに戻ってくる業務の一覧です。資料を厚くするより、この3点が分かる1枚にまとめるほうが、引き継ぐ側の負担は小さくなります。
上司から別の日を提案されたときは、その場で断らず、候補日の中から組み替えられないか考える。取得そのものを先延ばしにするのではなく、日をずらしてでも11月・12月の中に収める。ここだけは、譲らない線として持っておくといいと思います。
管理人の実例|年末まとめ取りをやめ、11月から分散させた
私は、年末にまとめて取ろうとする取り方をやめました。選ばなかったのは、12月下旬に5日分を一気に申請するやり方です。
理由は1つです。年末は業務が集中し、引き継ぎも重なります。まとめて申請すると、自分の業務が止まる期間が長くなり、周囲の負担も大きくなります。結果として、申請そのものを取り下げることになりかねません。11月から1日ずつ分散させるほうが、引き継ぎの負担も小さく、取得も確実に進むと考えたからです。
とは言え、この記事を書いた時点で、私の今年の有給休暇の残日数と取得済み日数は未確認です。実数が分かれば、計画表の章を自分の残日数に置き換えて書き直します。
まとめ|数えて、候補日を決めて、早めに伝える
- 基準日と残日数を確認し、年5日の義務に対してあと何日必要か数える
- 飛び石・年末年始の前後・分散の3パターンから、取りやすい日を選ぶ
- 11月中に1日取り、引き継ぎの手間を確認して12月の計画を手直しする
- 上司には候補日と引き継ぎの見通しをセットで伝え、日をずらしても11月・12月の中に収める
この4点が決まれば、年末の消化は見通しが立ちます。最初にやるなら、今日の残日数と基準日の確認です。
※本記事の制度情報は2026年11月1日時点のものです。付与日数や時季指定の扱いは、就業規則や労使協定によって変わります。自分の会社のルールは、就業規則と人事への確認で最終的に確かめてください。
























